2.金物工法について
1)金物工法の調査
木造住宅において材や接合部の損傷は大きな被害をもたらす原因になる。その事から材や接合部の損傷を軽減する為には、強度を上げる事が最も単純な答えになる。しかし金物工法を木材に取り込むには、材を刻み金物を取付けるので、材料その物の強度を下げてしまう矛盾を持ち合わせている。このことから、昨年のクレテック金物とHQ金物よりも金物の形状がシンプルであり材の損傷が極力少なく、比較的手に入れることも容易な金物を選定するべく、現在の金物工法について調査を実施した。
2)金物供給規模
まず、金物工法の汎用性を知るため金物供給規模について調査した。
(日刊木材新聞 H16,1,16より)
表1 金物供給規模
金物名称 |
月間供給規模(棟) |
|||
9年 |
12年 |
14年 |
15年 |
|
クレテック |
300〜500 |
700〜800 |
1,000 |
1,500 |
HSメタル |
|
200 |
270 |
1,200 |
テナングレード |
|
100 |
200 |
400 |
モッケン金物 |
|
|
|
300 |
メタッルフィット |
300 |
70 |
100 |
125 |
KES |
70 |
170 |
130 |
108 |
ナックル工法 |
|
5 |
25 |
100 |
SE工法 |
40 |
50 |
80〜100 |
100 |
RSメタル |
|
|
60 |
100 |
シャーウッド |
|
|
230 |
260 |
その他 |
|
20 |
60 |
294 |
合計 |
1,000 |
1,900 |
※2600 |
4,487 |
※9,12,14年の数字は今回掲載企業分のみ。合計に若干の誤差が生ずる
私たちが調査しただけでは、27種類の工法があった。それらを下の表に3つに分類した。一枚刃の金物と二枚刃の金物とでは、断面欠損に違いがある。二枚刃の金物は、コの字の形をしており、より多く材を削ってしまう事を考慮し、金物を選定した。
一枚刃は、金物が一枚の板のような形をしている物を言う。二枚刃は、コの字をした形を言う。その他は、それらに含まれないものや、未公開のものを含む。
表1 金物工法の分類
一枚刃 |
二枚刃 |
その他 |
AFC金物 |
HS金物 |
RH金物 |
NK金物 |
SSLOCK金物 |
SN金物 |
SE金物 |
HPナックル金物 |
H・QE金物 |
SPC金物 |
クレテック金物 |
RSメタル金物 |
TS金物 |
プレセッター金物 |
ハイテク接合金物 |
PM金物 |
テックワン金物 |
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メタルフィット金物 |
HL金物 |
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ロケット金物 |
IK工法 |
|
H・Q金物 |
|
|
モッケン金物 |
|
|
KES金物 |
|
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UM金物 |
|
|
J金物 |
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|
スカイジョイント金物 |
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|
また、金物工法で用いられている構造用集成材は、100年以上の耐用年数が分かったが、使う側の注意や配慮が必要になる。それは、冬場や湿気の多い梅雨等で湿気がこもらないように、換気や通気をするということである。また、日当たりの良い所や冬場のストーブの周辺等で急速に乾燥する場合、集成材の表面にひび割れが生じることがある。これは、強度的には問題がないが、乾燥しすぎないように過湿装置等を設けるなどの配慮が必要である。
この金物工法は、使うことによって資源の節約と地球温暖化防止に貢献するだけでなく、家族の住宅に対する考え方を変える可能性をもっている。それは、今までのような、住宅の平均使用年数が26年という短いものではなく、家を住み継ぐ考え方が芽生え、日本の住宅使用年数も増えてくると考えられる。そのためには、木造住宅の性能だけでなく、使う側の意識の変革も必要だと思う。