環境共生住宅
可動ルーバー庇の開発
AmeNETによるデータにより、太陽高度角、太陽方位角を調べ、それらを基に太陽位置図を作成。
図1-1 太陽位置図
夏至(6月21日)、秋分、また、9月21日までの太陽の位置を調べ、庇の形状を検討した。上記の太陽位置図を日照の高度の高くなる10時〜15時を防げるような形を考え、ひさしの日照調節の検討に取り組んだ。この場合は、日照の方向、角度において夏至から3ヶ月間で一番厳しい9月21日のひさしの日照調節を検討した。
1-1 南壁面開口部に対する庇の検討
上記の図面が、太陽位置図により、10時から15時の日射を防ぐことのできる庇の形状となる。
東側の出は635mmで窓全体を日射から防ぐことができるが、西側は、窓中心を防ぐだけでも1673mmの出が必要となり、窓の西側全体を防ぐためには2460mmの出が必要となる。このことから、ひとつの窓に、ひとつの庇とするよりも同方位壁面の窓につながった庇を使用するほうが有効であるということがわかる。
また、庇の厚さに関しては、意匠的にできるだけ薄く、また、ルーバー庇であることを考え、100mmとした。
1-2 西壁面開口部に対する庇の検討
西側の開口部の庇の検討には太陽位置図の西側を使い検討をした。
西側壁面では、水平庇ではほとんど役目を果たさない。西側の窓には格子状に縦ルーバーを取り付けることとした。縦ルーバーにした理由としては、窓からの視覚的な面で考え、横ルーバーを使用すると太陽高度が低いことから視界を極端に狭めてしまうことから縦ルーバーとした。
1-3 ルーバー庇における日照調節について
・南壁面開口部における庇について
図1-3 ルーバー庇における日照調節 夏至時
図1-4 ルーバー庇における日照調節 春分時
ルーバー庇における日照調節について夏至とその三ヵ月後の秋分について、また、日射の多い10時から15時までに対して有効かどうかを調べた。
まず、夏至についての日照に関しては日射に対して60°の角度までの回転ですべての日射に対して有効となる。
次に、秋分の10時から15時までの日射に対しては、角度をつけることなく、90度に
保ったままで防ぐことができる。また、採光を採り入れたい場合については、日射を防ぐのとは逆に角度をつけることにより採光を確保することができる。
・西南壁面開口部における庇について
西壁面の庇については、日射を防ぐのに庇では有効とならないため、縦ルーバーとし、
窓に直接つけるブラインドのような形状とした。
そのときも窓からの眺望を壊すことを嫌い、ピッチ、幅を検討した。
まず、東側の壁面に当たるであろう日射は夏至から春分は12時前後となる。
それらは、外枠で防ぐようにし、実際のルーバーによって防ぐ日射を14時からとし検討をした。
西壁面に当たる日射は秋分のほうがきついので、ピッチ、幅などを秋分の日射で検討し
眺望をできるだけ損なわないようにすることを考慮し決定した。
図1-5 西側壁面可動式ルーバー形状
外枠の厚さは、耐力とルーバーの可動装置がはいることなどを考慮し100mmとした。
次に、幅とピッチは、眺望を損なわないよう45°で、日射を防ぐことのできるようにした。
それらのことから、幅を300mm、ピッチを200とした。
幅を空きより大きくすることで、正面からくる日射に対して、45°の回転で防ぐことができ、更にどの方向からきても45°以内で防ぐことができるようにした。
図1-6 西側可動ルーバーによる日照調節 夏至時
この図は夏至の14時から日没までの日射とルーバーの回転による日照調節を図示したものである。14時から16時は時計回りに45°回転させることにより防ぐことができ、16時から日没までは反時計回りに45°回転させることにより防ぐことができる。
図1-7 西側可動ルーバーによる日照調節 秋分時
この図は、秋分の14時から日没までの日射とルーバーの回転による日照調節を図示したものである。14時から日没まで時計回りに45°回転させることにより防ぐことができる。
二つの図を見るとわかるようにルーバーの回転は±45°の90°の回転±45°の回転で夏至から秋分の日射に対しては有効になることがわかる。
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駆動方法について
図1-8 駆動部分断面、平面図
駆動方式については、ルーバーにCを取り付け、Bの部材のAの部分で@とBをつなぎ、全体として@とCをつなぐ。それにより、@を前後に動かすことで、ルーバーが回転する仕組みである。Bが回転する時に上下運動が起こってしまう点に対しては、BとCの接合部を縦に長い楕円形にすることで解決した。
下の写真は、1/1部分模型の写真である。