従来の規格

新規格

ホルムアルデヒド放散量

備 考

平均値

最大値

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F☆☆☆☆

0.3mg/L

0.4mg/L

新規格で新設

Fc0

F☆☆☆

0.5mg/L

0.7mg/L

従来規格を移行

Fc1

F☆☆

1.5mg/L

2.1mg/L

同上

Fc2-S

FS

3.0mg/L

4.2mg/L

同上

(資料)日本集成材工業共同組合 http://www.syuseizai.com/

集成材の良いところ

現実問題として山で採れた木を15%まで乾かすのは容易なことではない。天然乾燥でその数値まで下げるには、20年くらいかかる。人口乾燥で急激に乾かすと、反ったり、割れたりして、柱や梁材として使いものにならないものも出てくる可能性がある。どうにか表面を15%まで下げても、芯まで乾いてなくてその後、20%以上になることも考えられる。
 そこでもてはやされるのが集成材である。断面が小さいほど短時間で乾くし、乾いたところを接着剤で付けるため、含水率15%以下にすることはたやすい。そのためムク材と違って、狂わない、反らない、割れない、強度も強いというメリットがある。

集成材のメリット

1)          含水率を15%以下に乾燥し、狂い、収縮を減少。
 木は50200%の水分を含んでいる。その為、乾燥が不十分だと強度低下、反り、割れが生じてしまう。一般的に製材(ムク材)でも乾燥度合が進むにつれ、強度(許容応力度)は上昇するが、同じ樹種の強度が平均化されるものではない。集成材に用いる木材は天然乾燥に加え、さらに乾燥装置によって木の細胞膜中の水分まで放出させる事で、含水率を15%以下にまで落とし、反り、割れを防ぎ、強度をアップさせる事が出来る。

2)          天然木に対し1.5倍以上の強度性能を実現。
 天然木には、大節、割れなどの欠点がある。集成材はそれらの欠点を除いたうえ、積層することで、品質を均一化し、強度性能を高めることができる。特に建築基準法が性能規定化されるに従い、強度性能が表示される構造用集成材は信頼性の高い部材である。

3)          鉄・コンクリートより強く建物の軽量化が可能。
 木材の力学的性質のうち、単位重量当たりの強度を比較するとスギと鉄では約4倍、コンクリートでは約5倍の差がある。そのため建物重量は大幅に軽量化が可能で、基礎は、より小さくなり、施工も容易になって、建物のコストダウンに結びつく。 

4)          断面の大きい集成材は、防火性能が高い。
 木材は燃えますが、断面が大きくなると表面は焦げて炭化層ができ、酵素の供給が絶たれ、燃え難くなり、1000以上になっても必要強度は保たれる。建築基準法令でも集成材の防火性能は認められている。

5)          断熱材に優れ、調湿能力は抜群。
 木材は建築材料として日本の気候風土に最も適している。断熱性に優れ、夏は涼しく、冬は暖かく、湿度の高い梅雨は水分を吸収してくれるなど理想的な住まいを提供してくれる。熱伝導率は鉄の200分の1、コンクリートの4分の1の低さであり、調湿能力は3m10cm角の柱1本で、一升ビン1本分の水分を出し入れできるといわれており、結露を防ぐことが出来る。

6)          耳や目にやわらかな素材。
木材は人間の可聴範囲の中で不快感を伴う高音部と低音部を吸収する働きがあり、程よい音響空間をつくりあげる。また木材の有するやわらかさは心を落ち着かせてくれる。日本人は特に美的感覚に優れており、銘木の有する美に憧れをもっている。化粧ばり集成材はその欲求を満足させる部材である。

7)          半永久的な耐久性を実現。
 木材の耐久力は、管理条件を整えれば古代建築で実証されている通り半永久的である。木材は塩分、薬品に強く、海岸に近い建物や薬品を使用する工場等に適している。また、集成材に使用される接着剤も進歩し、管理に留意すれば半永久的な耐久性があるといわれている。

8)          自由な形状、寸法の部材が可能。
 集成材は幅、厚み、長さ、方向に自由に接着調整することができるため、長大材や湾曲材を製造することも可能。自由なデザイン、構造計算に基づく必要とする強度の部材も供給することができる。

9)          集成材のホルムアルデヒドについて

          JAS規格の改正
  集成材及び構造用集成材のJAS規格のホルムアルデヒド放散量基準は次ぎのとおり改正された。











                            注)新規格は、平成15227日から施行

②集成材と建築基準法ホルムアルデヒド規制との関係について                                         
(平成1571日から施行)

1・集成材の軸材(柱、梁、長押、鴨居、敷居、窓枠、枠材、階段の手摺、支柱、側板など)は「規制対象外」。自由に使用することができます。ただし、「線的な部分の面積が設置部分の見付面積の1/10を超える場合」は規制対象となり、使用面積の制限を受ける場合がある。

2・軸材、面材(床材、壁材、カウンターの天板、階段の踏板、蹴込板など)を問わず、「F☆☆☆☆」は規制対象外。自由に使用できる。

3F☆☆☆」「F☆☆」の面材は、内装仕上材として使用する場合、使用面積の制限を受ける場合がある。

4FS」の面材は、内装仕上材として使用できない。

互いのラミナ同士がバラツキのある強度を補完し、特性が平均化されバラツキは小さくなり、結果、信頼性の高い強度設定が可能となる。

水分が多いとカビが生える。カビの胞子をエサにする木材腐朽菌が繁殖し、木の成分であるセルロース、ヘミセルロースを分解していくので耐久性が損なわれる。木材腐朽菌は含水率20%を超えると繁殖し、以下では繁殖しない。含水率20%というのが木材の耐久性を損なわない1つの目安。強度も含水率20%が目安。測定に誤差はつきものなので5%くらい割増して、15%の含水率が望ましい。

4.構造用集成材について

1)構造用集成材の歴史

 1893年にドイツで誕生して以来100年以上の歴史を持つ集成材。当時に較べて接着技術が格段に進歩した現在では、少なくとも100年の耐久性を持つといわれ、新世紀の建築部材として大きな注目を集めている。これからの日本の住まいづくりは、建築基準法の改正によって「仕様規定」から「性能規定」へと移行し、部材については性能の明確な表示が求められるようになってきた。集成材が構造用部材として注目されているのは、優れた耐久性に加え高い強度とその均質性、さらに寸法の安定性を持っているためである。こうした特性が明確な性能表示と信頼に足る構造計算を可能にし、1986年に構造用大断面集成材の日本農林規格が制定されてからは、公共建築物などの大規模な木造建築にも集成材が普及している。

2)構造用集成材の優れた特性
 天然木の欠点を取り除いたラミナ(原板)を用い、高性能の接着剤で圧着するため、天然木の約1.5倍の平均強度を備えている。また一般製材品と同一の断面ならスパンが大きくとれ、同一のスパンであれば断面を小さくできるなど、設計面での優位性、経済性から、最近では大規模な建物だけでなく、小・中規模の住宅建築にも多用されるようになってきた。

3)構造用集成材ができるまで

(1)皮剥ぎ
 原木の樹皮を機械で剥ぐ。

(2)製材
 皮を剥いだ丸太を大きさに合わせてラミナ(挽き板:厚さ5cm以下の板)にする。  

(3)乾燥
 後で収縮や狂いが出ないように、じっくり乾燥させ、含水率を10%程度まで下げる。

(4)材をチェック
 乾燥を終えたラミナを機械(グレーディングマシーン)と目視の2通りのやり方でチェックし、良材と不良材とを仕分けする。
   *グレーディングマシーン・・・ラミナのヤング率を連続的に測り等級付けをする。(MSRという手法)
   *ヤング率・・・・・・・・・・硬さをあらわす指数。数値が大きいほどたわみにくい。

(5)欠点除去
 大きな節などの欠点を切り取る。

(6)フィンガージョイント
 接着面が大きい丈夫なつなぎ方でのり付けして、ラミナ同士を縦につなぐ。この後モルダー(カンナ)にかけて表面を仕上げる。

(7)のり付け
 接着剤のシャワーを均一に塗布する。

(8)積層
 木裏と木裏、木表と木表を合わせたものを接着する。

(9)プレス
 接着剤が硬化するまでプレス機で上下左右から圧締する。材種、ラミナの厚さなどから、最適な圧力で圧締される。

(10)仕上げ
 プレナー(カンナ)で削り、表面をきれいにするとともに、所定のサイズに仕上げ、梱包する。

4)構造用集成材の基準材料強度

1 構造用集成材の基準材料強度等の特性値の例
(異等級対称構成の場合、単位:Nmm²

集成材の等級

基準材料強度

弾性係数 E

圧縮

引張

曲げ

Fc

Ft

平使い

縦使い

E135-F375

29.4

25.8

37.2

27.6

13500

E120-F330

25.2

22.2

32.4

24.0

12000

E105-F300

22.8

19.8

29.4

21.6

10500

E 95-F270

21.6

18.6

27.0

20.4

9500

(例)E135はヤング係数に、F375は曲げ材料強度、375kgf/cm²37.2N/mmに由来する。